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ビスクドール制作記~上級編

新しくお人形を作るので、制作過程をアップするよ。 ビスクドールの作り方に興味がある人は要注目です。 いつ完成するか見ものだネ。

球体関節人形の作り方・張り込み編 おまけ

張り込み講座 雑記

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張り込み技法とは関係ないのですが、

今日は塗装と石粉粘土という素材の

適否について書いておきます。

 

結論から言うと、堅牢性、美観、手間とコスト

といった点で考えたとき、個人的には

満足できる塗料は見つかりませんでした。

 

ただ、選べる物の中では個人的には

これが最善と思うものを紹介します。

(推奨するわけではありません)

 

着色前の、下地だけ施した作りかけの

お人形があるので、画像を上げておきます。

 

これは下地に新うるしというものを

使っております。

写真で見ても、よくわからないですが・・・。

 

うるしとか言っておりますが、

これは本物の漆ではありません。

かぶれないし、乾かせば固まります。

おそらくカシューのようなものだと思います。

 

 

元々は釣り竿の塗料として

開発されたものらしいです。

そのような素性ゆえ、水に強く

力が加わっても割れや剥離が起こりにくいです。

 

見た目や感触的にも、カチッと

丈夫に乾いている感じがします。

 

百年二百年経ったときは分かりませんが、

画像のは、作ってから十年以経過しています。

特にひび割れや剥離のような劣化は

いまのところ見られません。

 

欠点としては、やや高価なのと、

塗って研いでを何回か繰り返すため

かなり手間がかかることです。

(薄め液を使って、何回も薄く塗り重ねる方が良い)

 

しかし石粉粘土自体が脆いものです。

いくら下地の被膜を丈夫にしても、

あまり意味がないかもしれません。

 

こんなものを使わなくても、白いサフを

毛羽が収まるくらいまで、

吹いて研いでを繰り返せば、

それでもいいと思います。

 

 

着色は最初にMrカラーのような

ラッカー系塗料を使い、その後

筆で塗りたい所はエナメル系塗料で塗ります。

 

あるいはパステルと艶消しクリヤー

を使うのも良いと思います。

自分ならそうします。

 

油彩で着色するというのは、個人的には

あり得ません。

 

油彩は塗料ではなく絵具です。

爪で引っ掻けば削れるし、衣装と擦れれば

色写りもします。

しかもこういうものを売却するなんて信じられないです。

 

油彩は深みのある色が出せるという者がいますが、

どんな塗料でも、何度も色を重ねれば

深みが出てきます。

意味が分かりません。

 

・・・。

何が言いたいかというと、素材や制作技法は

最初から良く考えて選べということです。

 

私の話は不快になる方が多いでしょうが、

本当に伝えたいのは、ここから先の話です。

誰に?

 

これから人形作家になろうと勉強中の若い方々です。

当ブログは従前の技法に拘泥したい方は

対象にしておりません。

 

言うと嫌われるため、他では語られない話です。

少し長くなりますが、人形作家になりたいという者は

良く読んでおいた方がいいです。

 

*-*-*-*-*-*-*

 

陶芸とか、漆とか、木目込み人形とか、他の工芸分野に比べて

創作人形の世界は歴史が浅く、まだまだ未発達です。

 

現在まで石粉粘土の制作技法が主流になっておりますが、

はっきり言って、これは造形の素人が考案した技法です。

少なくとも古今の工人が長い時間をかけて

練り上げてきたような技法ではありません。

 

これは推測なのですが、

最初に石粉粘土で作ることを考案した者は、

誰だか存じませんが――

 

・多くの製品が、原型→型→製品という

 過程を経て生産されること知らなかった。

・石膏の扱い方を知らなかった。

・型を取り、別の丈夫な素材に置き換えるという

 基本的な発想がなかった。

・乾かすだけで硬くなる、手軽さから石粉粘土を使った。

 

――と思われます。

あくまで私の推測です。

 

原型を異素材に置き換えることを前提にすれば、

石粉粘土を使う利点はあまりないです。

原型にも、完成品にも。

 

そもそも石粉粘土を使う理由、その利点というものを

皆さん考えたことがおありでしょうか。

多数のやり方を試した結果、石粉粘土を選んだのでしょうか。

おそらく他に選択肢がなかっただけだと思われます。

 

別に石粉粘土で人形を作ることに

意味がないというわけではありません。

素人が趣味的にやるには適当な技法です。

 

ただ、プロの人形作家が使うべきか、

これからやろうという人は

そこのところを良く考えたほうが良いです。

 

石粉粘土は、成形性が悪い、脆い、

高級感がない、経年変化に弱いと

私の目には短所が目立ちます。

 

昨日まで石粉粘土を使って、張り込み技法を

解説しましたが、

 

別に素材は何でもいいんです。

私は使ったことがありませんが、FRPで作っている

作家さんもいるし、紙を貼って作る方もいます。

 

私は磁器を選びましたが、その理由は

専門が陶芸なので、自分が扱えるという他に、

素材として美しく丈夫であるということです。

 

丈夫と言うと「え?落せば割れるよ?」という

声が聞こえてきそうですが、他の素材でも

磁器が割れる高さから落せば、ダメージを受けます。

無傷では済まないでしょう。

 

たしかに磁器は靭性(耐衝撃性)には優れません。

しかし硬度(耐摩耗性)には優れており、

引っ掻き傷には強いです。

この点は石粉粘土をはじめ、他の素材は比較になりません。

 

さらに水や油に強く、温度や気温の変化にも強く、

直射日光にも強く、酸アルカリにもまあまあ強いです。

つまり、経年変化に強いのです。

 

落して割ってしまうことは、気をつければ防げます。

しかし経年による劣化は気をつけても防げません。

 

アンティークのビスクドールを見ても、

他はボロボロでも、本体部分だけはつい最近

作られたかのような、外観をしております。

 

そういったことを考慮して、今のところは

美しさと堅牢さ、そして人形の肌に相応しいという点で

磁器に勝る素材は無いと考え、作っております。

 

これから作家になろうという皆さんも、

「石粉粘土を使うのが基本みたいだから」とかではなく、

原型においても、製品においても、

自分に相応しいと思う素材を選びましょう。

 

今後、石粉粘土の人形は、徐々に

廃れていくと思います。趣味では別として。

少なくとも完成品を石粉粘土で作る

作家さんは減少傾向にあると思います。

 

他にもいろいろ語りたいことはありますが、

長くなるので、またの機会に。