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ビスクドール制作記~上級編

新しくお人形を作るので、制作過程をアップするよ。 ビスクドールの作り方に興味がある人は要注目です。 いつ完成するか見ものだネ。

コラム◆デッサンてなあに?

雑記

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久しぶりに近所のデッサン会で、人体クロッキーをやってきました。

玉コロが出来上がるまで(乾くまで)上げるネタがあまり無いので、余談としてデッサンの話をしてみます。

 

お人形制作者の間でも、ときどきデッサンの重要性を説く人がいます。しかし私としては、どこまでご理解いただけているか、正直疑問です。

デッサンというと一般的には絵の練習だと思われがちですが、そうではありません。正しく実践すれば確かに絵も上手くなります。しかしそれは効果の一つではありますが、全てではありません。

デッサンとは何か。それは、デッサン力を高める訓練です。

デッサン力と言うのは、視知覚能力の一種です。人間の視覚の能力には種類がいろいろあるのですが、その中で

「物体の形状を捉え、空間を認識する能力」

がデッサン力です。

簡単に言えばデッサンというのは、対象が

“どんな形をしているのか”

ということを的確に捉えられるように、お目目を鍛錬することです。

見る能力の訓練であり、描く能力の訓練ではありません。

もっともデッサンで、描写力が身に付くのも事実ですが、本来の目的からすれば、それは副産物みたいなものです。

本質的には、お目目の訓練だと理解しましょう。

 
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ではデッサン力とは何かと言うと、視知覚能力の一種です。

なぜ、視覚能力であるデッサン力を養う必要があるのでしょうか。それは、デッサン力が高度な造形能力を身につけるのに不可欠だからです。

何においてもそうですが、対象を自分の意図する通りにコントロールするには、事前に操作対象をしっかり認識することが必要なのです。認識出来ていない物はコントロール出来ません。

例えば、現在自分の制作している作品が、その時点で自分が思い描く完成予定図より、長いのか短いのか、大きいのか小さいのか、出っ張っているのか、へこんでいるのか、といったことが的確に認識できなければ「なんか違うんだけど、何処が変なのか分からない」ということになります。

それではイメージと違うものが出来てしまっても、直しようがありません。

制作中の物体がどういう状態にあるのか、的確に理解できていないと、自分の意図する方向に近づけることは出来ないのです。

状況を把握して、どこをどうすれば自分のイメージする作品になるのかを、正確に見極めるために、美術家は視覚認識能力であるデッサン力を養うのです。

 

 
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デッサン力を活用する対象には、平面・立体、画風・作風を問いません。

リアリティのある絵を描くのも、マンガっぽいイラストを描くのも。

彫刻を制作するにも、3DCGのモデリングにも、あるいは陶器のろくろ成形にも、洋服の立体裁断にも。

造形物の制作であれば何にでも効力を発揮します。

たとえば、球体関節人形を作ろうとしている人がいるとします。その人物は、普段は何か別の造形関係の仕事をしていて、人形を作ったことはありません。しかし、その人物は高度なデッサン力を身に付けた手練の造形家であるとします。その場合、デッサン力で劣る人形専門の作家さんよりも、ずっと高度なことが出来てしまうということも可能性としてありうるわけです。

絵とか彫刻とか人形とか何か専門技術を習得する以前に、造形するための基礎的な視覚能力が大切なのです。

これが「デッサンは全ての基本」とか言われる理由です。